2022年度、ナナカラ大学のテーマは「ミュージアム思考」。
1年間かけて、ナナカラミュージアムを創ります。
ミュージアム思考って何?
皆さんは「ミュージアム思考」という言葉を聞いたことはありますか?
子どもと大人が共に文化やアートに出会い、楽しむことを応援する「Museum Start あいうえの」は、上野公園近隣に位置する9つの文化施設が合同で行うラーニングプロジェクトです。このプロジェクトの活動が記録された「こどもと大人のミュージアム思考」(2022年3月31日 第一刷発行 左右社)という本があります。
この本では「ミュージアム思考」が次のように説明されています。
『ミュージアムでモノを見て思考する体験を「ミュージアム思考」と捉え、視覚的、身体的、共在的、超越的、持続的の5つの側面からその体験を紐解いていきます。博物館・美術館の新しい時代の楽しみ方が学べます。(こどもと大人のミュージアム思考より)』
何で今、ミュージアム思考をテーマにするの?
私たちはこの思考を通して、ナナカラ生に「自分なりのものの見方、自分なりの正解」を見つけて欲しいと願っています。
現代は、テクノロジーの進化によって、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な時代だといわれています。またコロナウィルスの影響で常識が非常識になり、世界が急速に変化する中で「これさえやっておけば大丈夫!」という唯一無二の正解を探し続けるのは不可能です。
子どもたちが養うべき「生きる力」とは“正解を探し出す力”ではなく、“自分なりの正解をつくる能力”を、“自分のものの見方(軸)”に持つことです。自分の軸を持つことは「自分なりの美意識(何が正しいか?何が良いか?何が美しいか?)」を持つことでもあります。
今年のナナカラ大学は楽しみながら「自分なりの軸」を育てていきます。
誰が教えるの?
ナナカラの職員スタッフは多様で面白い人が集まっています。
今回のナナカラ大学は起業家の尾崎えり子先生。
自分なりの視点で物事を見て、事業を生み出す専門家。
去年、流山おおたかの森の教室長だった吉府広子先生。
アトリエを主宰。学芸員の資格を持ち、「ピカソと友だち学部」の先生でもある。
今年、本八幡教室で働かれている梶奈津子先生。
女子美術大学を卒業。彫刻など立体の作品などを得意としている。
具体的に何をするの?
いきなり「自分なりの正解を作ってください」と言われてもできません。
1日の中で正解を探しだす時間が圧倒的に多いので、少しずつ練習してミュージアム思考に慣れていく必要があります。
1学期は各教室に絵画を数点飾って、子どもたちに好きなタイトルをつけてもらいます。
こちらの絵画を各教室に展示しています。
見てください!
吉府先生と梶先生が厳選してジャンルや時代等が多様になるように選び、さらに本物のような額縁を段ボールで作ってくれました!
タイトルを書く付箋は、教室にたくさん置いてあります。毎日の気分によって絵画の見え方は変わるので、色んなタイトルを考えてもらいたいと思います。
すでにたくさん、付箋が貼られています。思わず笑ってしまったり、考えてしまうようなタイトルがいっぱい!
各教室がミュージアムになっています。
さらに、ナナカラ大学は教室の中だけにとどまりません。
実際にミュージアムに行ってきました!
本八幡教室の西洋美術館に密着。
絵画のタイトルに興味を持つ子もいれば、彫刻に興味を持つ子もいて、各々自分なりの楽しみ方を見つけていました。
ある男の子にスタッフが彫刻の力点について話すと、俄然興味が湧き、靴下を脱いで、同じようなポーズを取り足首、足の甲、足の指の形や力の入る箇所を確認。その場に座りこんで模写。その後も、コルビジェの立体を模写等、興味が定まったようでした。
※模写は美術館に事前に相談し、条件の範囲内で行っております。
夏休みはどうするの?
夏休みも、美術館に行ったり、元国立科学博物館研究員の方にオンラインで標本観察のお話を聞いたり、実際に行って、触って、話を聞いて、考える機会を作っていく予定です。
そのあと、2学期からは何するの?
2学期からは、実際に自分たちでミュージアムを創るための準備を始めます。
どんなミュージアムにするか?名前は?コンセプトは?という企画の部分から子どもたちと一緒に決めていきます。
どんなミュージアムになるか、今から楽しみです!