ナナカラの一校目の教室を開校したのが2015年。
第一期生の卒業生(小学校3年生から入った)は今、大学受験を目指し頑張っている。私たちは毎年多くの卒業生を送り出してきた。学童は時に学校より長く過ごす場所になる。
だからこそ、ただ親の帰りを待つだけの場所ではなく、子どもたちの未来に活きる場所にしたい。
「学校でも家でもない。学童だからこそできることは何か?」
この問いをずっと考え続けてきた。
学校では生きるための学習を、家では絶対的な愛情を受ける時間だとしたら、学童では試行錯誤をさせてあげたい。次につながる失敗体験をする時間にしたい。
毎日通い、決められた時間割がない学童だからこそ、試行錯誤する余白がある。
できる限り子どもたちが迷い、自ら考え、決める機会や時間を作ってきた。
同じ一年は一度もない。
子どもが変われば、やりたいことも変わる。プロセスも、結果も変わる。子どもたちと一緒に進みながらも、時々私たちの考え方が合っているのか、不安になる時がある。
そんな時、いつも答えをくれるのは卒業生たちだった。
「先生にお土産を渡したい」
「新しい制服を見せたい」
「ちょっと近く通ったから寄ってみた」
「同窓会したいんだけど」
彼らはナナカラに帰ってきてくれる。
そして、中学生や高校生になったからわかる、ナナカラで得たものを語ってくれるのだ。
卒業生は私たちにとって一緒に試行錯誤してきた仲間でもある。
場所への愛着は「時間」ではなく「思い出」が培う。
思い出は「悔しさやもどかしさ」によって一層鮮やかさを増す。
だから、いつまでも色あせず、卒業生たちはナナカラに帰ってきたくなる。
動画では6年間通っていた莉茉さんと百合奈さんのインタビューと、卒業して2年たった晴也さんと先生の対談を中心に撮影している。
あたかも昨日のことのようにナナカラのことを語る卒業生たちの顔を見て、私たちは間違っていなかったことを確信する。
今日も、ナナカラでは子どもたちと迷いながら、一緒に試行錯誤し続ける。
みんなが帰ってきたくなる場所にするために。
いつでも帰ってこられる場所であるために。