ナナミールものがたり

学童期の発育を一番に考えた軽食ナナミール。ついに1年分の献立とそのレシピが完成です。学び・遊び・運動のエネルギー補給に加えて、生きる根幹である食を楽しみ、好奇心を育むために、毎日ちがう献立を用意しました!

今回は、ナナミールの献立・レシピ作りに携わった、田辺悦子(たなべ えつこ)さんと、小池佐知(こいけ さち)のお二人にお話を伺いました。

Q お二人について教えてください

田辺

「家庭でできる薬膳料理」講座で、『食べるは健康に生きること』『子どもにとっての食の大切さ』を伝えています。人生の半分近くを保育の仕事を通して子ども達と過ごしてきました。幼稚園教諭2級・保育士・子育てアドバイザー・上級食育指導士・薬膳料理グレースフルフードインストラクターの資格を持ち、ナナカラではアドバイザーとしてナナミール監修・食育・子育て相談を担当しています。

小池

ナナカラ事業本部で運営に携わりながら、得意な料理を活かしてナナミールの献立を立案しました。担当になったことから、食育指導士・NPO日本食育インストラクター・発酵食マイスターの資格を習得し、調理専門学校の通信教育を受講しました。息子を学童に預けて働くママです。

Q ナナミールの魅力とは何でしょうか

田辺

ナナミールは放課後の軽食のことで、ナナカラ+ミールから名づけられたのよね。

小池

7つの良さがあります。

  • 安全な食材を用い、各スクールのキッチンで手作り
  • エネルギー補給と栄養に配慮
  • 五感を育て、食体験を広げる
  • 旬の食材や行事食で季節を味わう
  • 登室時間がちがっても、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく
  • 子どもが好きな献立を取り入れ、食べる量に対応
  • マナーや食育を学ぶ

田辺

「こどものカラダは食べたものでできている」「健やかな成長は食生活の改善が最優先」ということを意識して、ナナミールを監修しました。

小池

まさに、保護者のための食育講座で、お話をされたポイントですね。

Q 理想の軽食作りに奮闘したそうですね

小池

ナナカラが開校した当初は、手作り+市販のお菓子がおやつでした。子どもたちと関わる中で、運営責任者とともに放課後の理想の軽食を模索しはじめたんです。

田辺

子どもと距離の近い、学童ならではの気づきです。

小池

「おやつ」から「ナナミール」に名まえを変更。無農薬栽培浪江農園さんのお米をベースに、旬の食材を使い、できるだけ無添加の補食を目指しました。うどんやパンなども加え、家庭の手作り軽食をナナカラのキッチンで再現するイメージで新たな献立を考えました。

田辺

だしは和食の基本ですから、各スクールで昆布とかつお節から引くようにしました。
方針の転換はナナミール代の値上げになり、保護者の方からご意見もいただいたけれど、賛同してくださる方が多くて励まされました。健康への思いはご家庭もナナカラも同じでしたね。

Q 食体験を広げるためのコラボにはおどろきました

小池

そうですか! 子どもたちの食体験を広げたいと、発酵×スパイス食堂のヤジッコキッチンさんとラフォレ・エ・ラターブルさんのご協力を仰ぎました。美味しさだけでなく、糀で腸内環境の改善や病気へのかかりにくさ、天然酵母のパンで噛むことが身体作りに役立つことを伝えるきっかけになりました。
ナナカラでは、食育も保育の一部と考えています。

田辺

糀とハードタイプのパンの導入はチャレンジでした。子どもは食べなれない味やにおい、食感が苦手なので、食がすすまない時はハラハラしましたね。

小池

はい。子どもたちの声、お店の方と一緒にレシピの開発や材料の検討、調理スタッフとの連携とナナミールに取り入れるために、何度も話し合い、見直しを重ねました。

Q チームビルディングとナナミールのブラッシュアップとは

小池

調理スタッフの意見を採り入れ、効率化のためにキッチンの改装をおこないました。また、会議や研修を定例化して知識の共有とチーム作りに取り組みました。

田辺

1年分の献立・レシピ作りに着手したのは、その頃です。各スクールの調理スタッフ全員が同じ料理を提供するためのブラッシュアップにも、時間をかけました。

小池

調理の視点からは、かんたん・おいしい・栄養・見た目・喜ぶをキーワードに再考しました。経験によるちがいが出ないように、g・cc ・さじを必要に応じて併記しながら、写真を活用してレシピをマニュアル化する作業をおこないました。

田辺

一番むずかしかったのは、何ですか。

小池

そうですね。調理時間や味・コストを考えながら、1年分1日2品の献立を組み立てることでした。

Q 新しいナナミールに願うことは

田辺

完成後も、毎日、調理スタッフの感想と子どもの様子を記録してもらって状況把握に努めているそうですが、子どもたちの反応はどうですか。

小池

好きなナナミールがたくさん出る!と楽しみにしています。子どもが考案した味もあるヨーグルトドリンク、ふっくら甘い浪江農園さんのごはん、千葉名物ピーナツ味噌のアレルギー代替案が人気になった大豆味噌、腹ぺこさんにぴったりのうどん、ほんのり甘いホットケーキ、寒天入りゼリー。これらはナナミールランキング上位なので、食材を工夫してバリエーションを増やしました。
それと、リクエスト献立の日を設けたことも喜ばれました。
民間学童だからこそ、細やかな対応が可能だったと思います。

田辺

それは良かった! 子どもの「おいしい」は、作り手の元気の源ですね。

小池

「レシピを教えて」という言葉もそうです。「次はいつ?」と楽しみにしていたり、「おかわり!」と食べる意欲を感じる時、調理スタッフも私もやりがいを感じます。成長期ですから、背が伸びると、ナナミールが少しお役に立ったかなと妄想したりもします。笑

田辺

10歳頃までの食体験が、味覚を育てるといわれています。子どもたちには、新しいナナミールを通じて健康と豊かな食体験を積み重ね、自ら考えて食べる未来を作ってほしいと願っています。